病院から外に出て、自転車で訪問リハビリをするようになって、肌で季節の変化を感じるようになりました。公園に咲く花や木々の変化に季節を感じ、最近はきんもくせいのいい香りに癒されてます。先日まで暑くて汗をかきながら自転車をこいでいたかと思ったら、このところ急に冷え込んで、夕方には寒くて長袖を着用している日もありめまぐるしく変わる季節にちょっとばて気味です。
三ヶ月おきにめまぐるしく気温や天候が変化していくのを肌で感じ、「日本とはまあ、こんなにめまぐるしく季節が変わる過酷な気候の国なんだなあ」と、いまさらながら痛感しました。そして、在宅生活は季節に大きく影響されるなあと感じました。学生の頃には全く気にかけていなかった「季節」という問題、特に退院時の季節は患者様にとって重要な問題であると同時に、退院後の在宅生活をどのように送ってゆくかに影響していくと考えます。
年間で一番在宅生活の活動性が低下するのははやり「冬」が多いです。理由はずばり「寒いから」です。特に、一戸建ての場合、昔の家屋は夏向きに作られており、室内は暖房を入れても、廊下やトイレがしんしんと冷え込んでいる場合があります。訪問に行くと、あまりの床の冷たさに私の足の指先が冷たくてしびれてしまうほどのときもあります。新築の床暖房付、高気密の一戸建てでも、キッチン周りや脱衣場など思わぬ場所がとても冷え込んでることがあります。それに比べると団地やマンションなどの集合住宅は機密性が高く、また日当たりもよい場合が多いので、室内から廊下、トイレまで暖かい場合が多いです。この気温がADLに大きく影響していると感じます。訪問リハビリではこのような季節の変化と家屋状況にも気を配る重要性があります。室温の確認も重要です。
夏から秋にかけては行事が多く、デイケアーなどでもイベントが多かったり、在宅生活においても家族でも親戚が集まる機会があります。(夏祭り、お盆、敬老の日、運動会等 お月見等)しかし、これから2月までは行事も少なくなり、家にこもりがちな場合も多いようです。
また次に活動性が低下されると思うのは「真夏」です。「暑すぎる」という理由です。暑いと浴槽に浸かって、入浴する気も無くなり、「シャワーをかけるだけでよい」と、それまで出来ていた入浴動作を全くやらなくなってしまう場合もあります。
退院後の季節が冬の場合、注意すべきは、やはり「コタツ、テレビ漬けの生活」だと感じました。床からの立ち上がりが可能な方は「こたつ」で暖をとる場合が多いです。そしてコタツでご飯を食べ、テレビを見て、ちょっと眠くなったらそのままゴロンしてしまう。入浴は寒いから週1回のデイケアーで済まし、自宅では行わない。独居の場合はさらに深刻で、「ご飯を作るのも面倒だからご飯炊いてたらことおしんことお茶で済ませている」という食生活を行っている場合もあります。トイレも廊下に出ると寒いので、リハパンの中にしてしまうという場合もあります。このような冬の生活を送っているうちに、あっという間に立ち上がれなくなったり、いわゆる廃用症候群の様々な症状をみることになってしまいます。退院後、このような生活習慣が身についてしまうと、その後春や夏になっても活動性が低いままの生活になってしまう可能性が高いです。
ADLが比較的自立している高齢者でも冬になると「寒いから買い物に行くのは面倒で家にある保存食(漬物、干物、米)等ですませている」というかたも見られます。また、寒さで慢性疼痛が悪化してしまう場合もあり、家に閉じこもりがちになることもあります。
退院が春や初夏、秋などの比較的季節がよい時期だと、積極的に「散歩に行きたい」という気持ちになったり、ご家族もリハビリに大変積極的です。逆に寒い時期だと「外に出て冷えたら肺炎になる」「寒いと関節が痛む」等という訴えも多くなります。そして室内が寒い場合、こたつや、立ち上がりが難しい場合は電気式毛布を敷いた布団のなかで暖を一日中とっている場合があります。
このように季節によって高齢者の在宅生活は大きく異なっているようです。春には自立していたことが、冬になったら全くやらなくなってしまったりということも多くみられます。これから年末年始に向けて、高齢者の方々のADLを低下させないようにするにはどうすればよいのか、悩みがつきない季節を迎えています。
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